虫歯の親知らず ―抜くか、治すか
親知らず(第3大臼歯)が虫歯になった。どうするか?抜くか、治すか。
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解説を・・・
一番奥の大臼歯の奥に、ときに歯がもう一本生える。第3大臼歯と呼ぶ。遅く生えるので、親が死んでから生える歯と「親知らず」の名が付いた。
でも、親知らずは生える場所が窮屈で、マトモに生えない人が7割もある。生えない具合はX線で分かるが、多くは前の第2大臼歯の方向に、横向きに生え、かむのには役立たない。そのうえ、親知らずの頭がしばしば第2大臼歯に密着して、境に歯垢(しこう)が溜まり、第2大臼歯まで虫歯になる。
また、役立つ親知らずでも、最奥だから唾液が届きにくく、磨きにくくて、歯周病になりやすい。
奥だから、治療もやっかいだ。
![イメージ](img/care5-3.jpg)
で、「親知らずの虫歯は抜く」のが歯科の定説だった。無理して残しても、痛いなどの苦労が増えるだけだ。しかし以前は、虫歯でなくても抜くケースがかなり目立ち、抜きすぎと問題になって、患者たちの「自分の歯を大切にしてほしい」という反発を誘った。
いまでは歯科医師が、虫歯の親知らずの抜歯を、患者に「どうしますか」と聞くことも多い。以上をお読みの読者なら、「私の親知らずは、かむのに役立ってますか」と聞き返せばよいと、お分かりだろう。
さて、答えがYESでも第2条件がある。現に虫歯になったのだ。今後はなお危ない。心機一転、間食を減らし、寝る前に磨かないと、苦労ばかりで抜く結果を招く。
つまり、「歯は抜かずに」が通念だが、虫歯の親知らずは例外だ。
抜かずにおき、他の歯がダメになったら植え替える技法もある。だが植え替えに役立つ機会もマレで、やってくれる歯科が少ない。
なお親知らずの抜歯は、状況によっては難しい。難しそうだったり、歯科医師が慣れていないようなら、歯科大学か大学歯学部の口腔外科(医学部の口腔外科は違う)が、抜歯専門だし、麻酔もまず完璧で、安全。用心深い人にはお勧めだ。
食品と暮らしの安全182 号 2004. 6. 1 より |
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